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いただきますの、向こう側

Posted by junko on 03.2012 ブラジル Brazil   0 comments   0 trackback

昔読んだ雑誌に、こんなフレーズがあって。
何故だかずっと心に残っていた。

『いただきますの、向こう側』

そんなフレーズを、実体験をもって目の当たりにしたのが、
ここ弓場農場で見学させてもらった、豚の解体だ。






私達はスーパーマーケットに行けば、簡単にお肉が手に入る。
特に日本では、綺麗に骨や筋が切り取られ、
もも、胸、手羽、ロース、肩、バラなどに分類され、
必要な部位を必要な分だけ購入できる。

けれどその裏には必ず、
それまで生きていた『動物』を、『精肉』に変える人物がいる。
いつだって何だってそう、生き物は勝手に食べ物には変化しない。

その人物は、
動物自身が殺される運命を知って泣き叫ぶ声を聞く。
その人物は、
死体となった動物の毛を剃り、頭や足を分解して切っていく。
その人物は、
内臓を取り出す。
その人物は、
流れ出る鮮血を見る。
その人物は、
皮を剥ぐ。
そしてその人物は、
その肉を食べる。

私は今回、この一連の作業を見させてもらった。
そこには一切の無駄のない動き、鍛錬された技術、そして生き物に対する敬意が、
在った。



とまぁ、そんな堅苦しく考えなくてもいいじゃない、と、
弓場で育った若い女の子達は言うだろう。
だって彼女達、まるまる太った豚を見て放つ言葉はコレ。

「うわー、美味しそう」

参りました。





ある日の午後、夕方近く。
その日の仕事を終え、私達は豚が飼育されている場所へ向かった。
小屋へ着くよりも前に、豚独特の臭いが鼻をつく。
と、聞いたこともない鳴き声、いや泣き声が今度は耳を突き刺した。
豚の泣き叫ぶ声。
自分が今から殺されることを知っているんだろう。
きっとそれ以前に仲間が同じ運命にあったことを記憶しているんだろう。
そんな叫び声だった。




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すると突然その声が止んだ。
それは同時に死を意味する。
すぐに台車に運ばれていった。
犬がついていった。




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殺す瞬間を、私は見ることができなかった。
だけど啓陽は見ていて、彼の話によると、
本当に一瞬の出来事だったらしい。
ナイフで心臓をひと突き。
刺された豚は、一体何が起きたのかわからないまま、
歩きよろめき、バタッと倒れたという。

だけどそこには熟練の技術が必要だ。
だって暴れ動く豚に対して、たったのひと突きで仕留めなくてはならない。
数ミリでも外せば、もがき苦しむ時間が増えるだけ。

瞬時の技は、生き物に対する敬意に繋がる。





解体所へ運ばれると、
既に用意してあった熱湯をかけ始めた。
そうすることによって、毛を剃り易くなる。




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小さなナイフで、少しずつ丁寧に、それはそれは丁寧に剃っていく。




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毛が完璧に剃り終わると、切断が始まる。
内臓を取り出され、あばら骨がむき出しになった途端、
それまで『生き物』として見ていた豚が、
一瞬にして『精肉』に見えた。




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骨と血にまみれた肉は、
こういう旅に出てから各国の市場で見慣れていた。
もう当たり前のように、切り落とされた頭だけが売られていたり、
天井から吊るされた足は足そのままの形だし。
けれども切られる瞬間を見たのはもちろん初めて。
豚の体から内臓や血が流れ出るのを見るのも初めてだった。

だから正直この解体を見る前は、
自分がどんな気持ちになるかわからなかった。
ちゃんと見れるのかさえ不安だったくらい。
だけど実際は、
すごく清々しい気持ちになっていた。
それぐらい、彼らの仕事は美しかった。
主となり解体していたうちの1人はまだ高校生だ。
黙々と、無駄のない動きで、ただただ真剣に豚と向き合っている姿を目の当たりにして、
彼らに尊敬の念を持った。

そして、だからこそやっぱり私達日本人だけが持つのこの言葉を、
誇りを持って言い続けたい。
ずっとずっと、後世まで残したい言葉。


「いただきます」





翌日の献立は、「餃子」
さらに翌々日は、「豚カツ」でした。
もちろん今回の豚肉を使っての料理。
両手を合わせ、有り難くいただきました。
そして、、、

ほんっとーーーーーーーーーに、美味しかった。







弓場ではこの豚を、余すとこなく全て使い切る。
特に驚いたのは、豚の脂を使って作る石鹸と洗剤だ。
見た目はどろどろした脂なのに、
水に溶かすと一気に泡立ち、いつも見慣れたような洗剤に様変わりする。
一体どんな仕組みで豚の脂が洗剤に変わるのか、
その作る過程を見る事ができなかったのは残念だ。




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気持ちいいくらい汚れがキレイに落ちる。素晴らしき技術!




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全部自分たちの手で作る。



コーヒーも。



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コーヒーの豆って、赤い実の中にある白い種だって知ってました?
その白い種を高温で煎って煎って煎りまくって水分飛ばして焦がしたのが、
よく見る茶色いコーヒー豆。
私は知らなかったー。




ジャムも。



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グァバジャム。トマトソースに見えるけどこれはジャムです。
何時間も何時間も煮詰めて、あの忘れられない味になる。
日本じゃグァバ、あんまり手に入らないからなぁ。





誕生日ケーキも。



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この日、二十歳の誕生日を迎えるスマカちゃんのために、
女の子達はガトーショコラを焼いた。
夜になるとみんなが食堂へ集まり、
スマカちゃんの節目をお祝いした。

弓場では誰かの誕生日には、必ずこうやって皆で集まってお祝いするという。
もちろん近い誕生日の人は合同になるし、
毎回お祝いの仕方は変わるだろうけど、
そうやって各世代同士、誕生日を祝い合えるってステキだよ。



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主役のスマカちゃんと、元旅人で弓場に移り住んだ辻さん。
ここで育ったジュンコさん(同じ名前だってことで結構イジられたもんです)と
恋に落ちて、日本を離れ、結婚してここに永住することに決めたという。
辻さんは1970年代に自転車で世界を旅した。
彼の旅の話を伺うと、現代の旅がすごくぬるく感じる。
けれども同時に、旅に共通する不変のものがあるとも感じる。









そしてついに私も、オクラの草刈りデビューをする日がやって来た。
いつもいつも汗だく土まみれになって帰ってくる啓陽と愛二を、
余裕の眼差しで迎えていたけれど、
今回身を持ってわかりました。
農業がいかに体にキツいかということを。

私は声を大にして言いたいです。


農家の方々、いつもいつも本当にお疲れさまです!
そして美味しい野菜を届けてくれて、
本当にありがとうございます!!!




野菜は勝手に育つわけない。
誰かの手で、誰かの心で、大切に育てられ、管理され、
私達の口に入る。
だから少しでも無駄にしちゃいけない。
本当に、無駄にしちゃいけない。



キツいのは鍬使いが難しいだけじゃなくて。
この炎天下という暑さも体力を吸い取っていく理由。
日焼け対策もバッチリでございます。




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見渡す限りのオクラ畑




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こいつがオクラの花ね




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この日は午後だったこともあり、
時間が短いだけまだ余裕の表情。





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弓場の仲間。8人中、6人が旅人!






でも、翌日は午前の仕事。
フルに5時間、鍬持って草刈りした結果、
完全にバテました。



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まだ暗いうちに出発して。




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仕事前はまだ元気




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さぁ始めるよ!
と気合い入れたはいいものの。。





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数時間後の姿。まー情けない。





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犬も日陰で休むほど、この日は暑かった~。





首や頭に水をかけながら、なんとか自分なりに頑張ってひたすら草を刈る。
前を見ると、はるか彼方に啓陽と愛二。
あー、やっぱすごいよ。
だてに鍬握ってないよ、君たち。
その体力とスピード、いやむしろ根性に、ちょっとだけ尊敬しました。







そんな風にして、発見だらけの弓場農場での日々はあっと言う間に過ぎ、
ついに最後の晩を迎えた。

たまたま来客が重なり、その中のお一人が日本酒をお土産に持って来たこともあって、
その晩、食堂は大宴会の場と化した。




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犬師、ゴリさんは元TBSで働いていたという経歴の持ち主。
弓場にいる6匹の犬達の面倒を見ているゴリさん。
どんなにか犬好きだろうと思って聞いてみると、

「誰もやんねーからよぉ。俺がやるしかなくてよぉ。」

でも、犬達を見つめる眼差しでバレバレですよ。




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チャック兄さんはツネオさんの実のお兄さん。
なんと牧師さんである。
「2人が連れ添っていく先に、、」



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ツネオさんの奥さん、ポジンさんは本当に可愛い人♬
弓場のお台所の鍵を握っている!
なんでも作れちゃう凄い人。
できればお醤油、お味噌の作り方も習いたかったー。



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旅人カオルさん。半年間の弓場生活、いつまで続くのでしょう?
後ろはツネオさんの長男、ダイゴ。
しっかり者で、将来きっとこの弓場を引っ張って行くんだろう。



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すぐ立ちたがるチャック兄さん。




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タケさん&リエさん夫妻も旅人。
けれど、もうかれこれ弓場滞在歴なんと一年!
すっかりここでの生活に溶け込んでいた。
それぐらいここは魅力的な場所だから。
彼らが旅を再開するのか、それとも、、
それは誰にもわからないこと。
でも世界のどこかでまた会えたらもっとお話したいなぁ。



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辻さん、飲み過ぎでっせ。







その晩遅くに、近くの小さな町でカーニバルがあって。
さっきまでスッピンTシャツだった女の子達が、
バッチリ化粧とお洒落な服で気合い入れまくり!
それに感化されたアラサー組は、
やっぱり気合い入れてついていきました(笑)
いや、行くでしょう、ここは!


とはいっても、彼らの一張羅はやっぱこのシャツしかないんだけどね。



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連れてってくれたダイゴ、ありがとう!






そして本当に本当の最終日。
夕方16時にアラサトゥーバを出発し、リオデジャネイロへ向かう私達。
弓場でいただく最後のご飯は、
なんと子豚ちゃんの丸焼き!



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この子豚ちゃん達も、やっぱり彼らのあの美しい仕事によって、
こうして食卓に並べられたのだろう。
最後の最後まで、本当に食べることに感謝させてもらいました。




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さらに、夕食はバスの中で摂ることになるだろうと、
いつもより多めにお米を炊いていただき、
3人分のおにぎりを握っていた私。
すると、「これも一緒に食べなさい」と、
昨日の残りの豚カツまでいただいて、、



どんな言葉をもってしても足りないくらい、
感謝の気持ちでいっぱいです。
特に、『食べること』に関して、深く、深く考えさせられました。

「いただきます」の意味。
どんな食べ物にも、その背景には丹精込めて育て、作った「人間」がいるということ。
それを忘れちゃ絶対にいけない。
そして、自分の身体が教えてくれた食べ物と健康の繋がり。
ここでの滞在中、すこぶる体調が良かった。
肌だってたいしたお手入れしてないのに、ピンピンしちゃって。
やっぱりどんな高級な化粧品より、健康的な食生活。
これに限るんだなー。
わかっちゃいたことだけど、自分の身体で再確認できた。




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弓場の皆さん、本当に、本当にお世話になりました。
そして、ありがとうございました!!!





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Author:junko
北の大地でお魚食べて育った少女が、
世界へ旅に出ます。

写真が好き。
でも人はもっと好き。

まだ見ぬ出会いを、笑顔を、そして
感動を求めて。

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