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就職物語 続編1

Posted by junko on 27.2011 カナダ Canada   2 comments   0 trackback
ついつい忘れてしまいがちだけど、
私はこの国では「移民」なんだ。



そんなことを思い知らされる出来事があった。




ビストロでの仕事も3ヶ月を過ぎ、だいぶ慣れてきた今日この頃。
デザート担当だったエチエンヌが他の仕事をみつけ、
代わりに私がデザート担当となって働いていた。

仏語ができない私のために、
レシピを英語に翻訳してくれたエチエンヌ。
優しい人柄の彼はとても丁寧に教えてくれた。

お菓子作りは得意じゃなかったけど、
もちろんお菓子が大好きな私は、その役割に満足していたし、
責任感を持って取り組んでいた。
シェフのヤニックは、直接私に言うことは無かったけど、
エチエンヌ曰く、「junkoの仕事はパーフェクトだって言ってたよ」とのお言葉も頂いたり。


店が開く前は、メインとしてはデザートの仕込みを行い、
その他サラダや前菜の仕込みも私の仕事だった。
営業時間の中でも、やはりそれらに関わるポジションにいた。

キッチンやホールのスタッフとも仲良くなって、
冗談も交わせるような。
居心地は決して悪くなかった。


だけど。


気になる事が日に日に増えてきた。



まず第一に、あまり客の入りが無い夜、
早くに上がらされることが増えてきた。
私としては最後まで働きたい、なんせ稼ぎたいのだから。
だけど、こればっかりは仕方がないとしか言えないだろう。

ただ、言い方ってもんがある。

「junko、帰っていいよ」

いやいやいや、帰っていいよじゃないでしょう。

「悪いけど」の前置きくらい、欲しかったなぁ。
もしくは疑問系にするとか。

「Can you leave?」の響きと、「You can leave」は全く違うと思うんだ。


そして第二に。
みんな、汚い。
汚いって言うのは、身なりとかじゃなくて、物の使い方。
料理器具は使ったらそのまま、ぽーん。
砂糖の袋も開けたまんま、ぽーん。
湿気るだろうが!
冷蔵庫の中もぐちゃぐちゃ。
なんでラップしないの?ねぇなんで?
臭いすごいよ?
ユニフォームも、脱いだまんま、ぽーん。
誰が毎日洗ってると思ってるんじゃ!
あたしはあんたのママじゃないんだよ!!


だけど、ほっとけないのが日本人の性というのでしょうか。


心の中ではぶーぶー言いながらも、
冷蔵庫の中を整理してた。
あちこちに散らばるユニフォームを拾い上げては洗濯してた。
乾いた後はたたんだりもしてた。
砂糖の袋をしばってた。
マヨネーズでぐちゃぐちゃのミキサーを洗って置いておいた。


別にありがとうって言われたかったわけじゃない。
そうした方が、みんなが働きやすい環境になるだろうと思って。
チームワークってそういう事でしょ?
だから、それはそれで良かったんだ。



あることを知るまでは。



この店に入った当初、一番面倒を見てくれていた兄ちゃん的存在のミディが、
オーナーや他のスタッフとそりが合わなくなって、
一気にシフトが減った。
ミディは怒っていた。
その怒りを私にぶつけてきた。


「junko、君の時給っていくら?」

「あたし?10$だよ」

「やっぱりね。俺もそうなんだ。でも俺は一年前のこの店のオープニングから
 働いてるんだ。だからこないだ給料交渉したんだけど、全然ダメだった。」

「そっか、、」

「それだけじゃないんだよ。ルチアーノは12$だし、デビッドは11$なんだぜ?」

「え!?まじ、、」

「うん。俺はルチアーノに仕事を教えた立場なんだよ。なのに今じゃ逆転だ。
 デビッドなんかついこないだ入ってきたばかりじゃないか!
 ルチアーノも何を勘違いしてるのか、俺に指図までしてくる。
 俺はもう我慢できない。こんな店辞めてやる!!」

「辞めちゃうの!?そんなんやだよ!」

「俺もjunkoと一緒に働くのはすごく楽しいし嬉しいよ。
 だけどこれが人生なんだ。俺は俺の道を行く。
 junkoも最近早く上がらされてるだろ?
 早いとこ他の仕事みつけた方が絶対君のためだよ。」

「うーん、、」



正直ショックだった。
他人の時給は聞かない方が良かった。
だけど、、


デビッドは、つい最近入って来た新人。
でも調理学校を出ている上に、将来の夢は自分のレストランを持つ事というだけあって、
その場しのぎの稼ぎ場としている私からすれば、
それは時給に差があっても仕方のないことなんだろう。
だけど、ミディだってキッチン経験はとてつもなく豊富だし、
仕事もできるから、彼にしてみれば納得いかないのも当然だ。


すごく複雑な気持になった。


だけど、今あたしにできることは、
自分に与えられた役割を完璧にこなすことだと思って、
一生懸命やってきた。

つもりだった。





そんな日々と並行するように、よく近所でアティグに会うことが重なっていた。
というのも、うちのちょうど隣のビルに、
アティグが1歳の息子を預けている託児所があるからだった。
アティグの奥さんは、現在妊娠9ヶ月。
第二子の出産を控え、昼間の数時間、息子のアブダラを預けているのだ。

あ、ちなみにアティグというのは、
ここに来て一番はじめに就職したアフリカンレストランのオーナー。
同時進行で求職していたため、
非常に勝手ながら、入って3日目で辞めたという歴史がある。
そう、あの時あたしは、アティグを選ばなかったんだ。


そんな過去があるにも関わらず、
道端で会うと、いつもアティグは満面の笑みで、

「junko~!元気か!?仕事はどうだ?
 そうかそうか、それは良かった!会えて嬉しいよ!」

なんて声を掛けてくれる。
彼と一緒にいる時にも何度か会っているので、
彼ともすっかり顔なじみ。

先月もちょうど2人で歩いている時に会って、

「今度ふたりでうちに食べに来いよ!招待するぜ」

なんて言ってくれて、本当にご馳走してくれたんだ。
その気持がすっごく嬉しくて、
以前に撮った店や料理の写真をフェイスブックに載せたりもした。

「モントリオールで一番美味しいアフリカンレストラン」

っていう題名で。
それくらいしか、私にできる恩返しの方法が見つからなかった。


そしたら次に会った時、その写真のことすごく喜んでくれてた。
心のキャッチボールができた気がした。





そんな8月のある日。
その宣告は突然やって来た。

いや、突然というよりも。
「やっぱり来たか」という方が正しいような。

だけどやっぱり悲しかった。
評価されない悔しさがこみ上げてきた。
自分の力不足なんだと思った。


オーナーシェフのヤニックに呼ばれた。

「junko、今ちょっと話せる?」

「うん」

「最近知っての通り、あんまり客の入りが良くないんだ。
 それで、今までのように週4日君に働いてもらうことができなくなった。
 だから、君さえ良ければ、週1日か2日来てもらって、
 デザートを作ってくれるととても助かるんだけど、、」

「そっか。。例えばじゃあ、その週1日か2日出たとして、
 営業時間の最後まで働けるの?」

「それはわからない。状況にもよるしね」


(それが一番困るんだけどな、、
どうせ丸一日働けないなら、他の仕事みつけるよ、、)


「わかった。ちょっと考えてみるね」




考えるも何も、事実は変わらない。
この店で、充分な稼ぎは得られない。
ということは、他に仕事をみつけるより他ない。




私の就職物語は、終わることを知らないようだ。




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プロフィール

junko

Author:junko
北の大地でお魚食べて育った少女が、
世界へ旅に出ます。

写真が好き。
でも人はもっと好き。

まだ見ぬ出会いを、笑顔を、そして
感動を求めて。

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